養父(やぶ)駅は、兵庫県の北部、緑豊かな山々に囲まれた山陰本線の駅です。明治41年に開業し、当時の駅舎がほぼそのままの姿で現在も使われています。瓦ぶきの寄せ棟造り、平屋建ての小さな木造駅舎です。駅にむかって右側にある出入り口と大きく張り出したひさしは、明治時代の標準的な駅舎の設計です。待合室の切符販売窓口、受付台、壁面を飾る板張りなど、当時の姿のまま残されていて往時をしのばせます。

 駅舎は現在、但馬地方の近代化遺産の一つになっており、107年前の往時の姿を留める駅として鉄道ファンの人気が高く郷愁を感じさせる雰囲気の駅です。養父駅はかって貨物の出荷基地として栄え貨物の総取り扱い量は福知山鉄道管理局内で5位を占めるほどで、近くに牛市「養父市場」があった為、多数の子牛が貨車に積み込まれて出荷されました。1940「昭和15」年には民間企業によって鉱石を運搬する貨物専用のホームが造られ明延、十ニ所、山中、加保鉱山などの鉱石が積み込まれ、更に旧養父郡内で生産された木炭の出荷搬点にもなり繁栄しました。

 貨物の取り扱いが廃止されて、今では無人駅になり昔の面彫がなく寂しい限りです。

 残して欲しい縁豊かな山々と田んぼに溶け込む故郷の魅力ある養父駅です。

関西養父市会役員
正垣 惟男


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です